Heaven's Door




7


学園の裏の帝王、副会長の中嶋の呼び出しから5分。
学生会室に呼び出された当人が姿を現した。

「失礼します。」

学生会室に呼ばれ、緊張した面持ちをしない人間は少ない。
だが、そこに現れた冬紀は落ち着いた様子だった。

「来たか。」
「…北野…。」


「はい。そちらから呼び出しを受けましたから。」

そこにいる丹羽と中嶋の穏やかでない表情を見ても、それは変わらず
にこりと笑い、用件を聞いた。

「…ふん。思ったよりふてぶてしいな。度胸がある、と言った方がいいか。」

中嶋は張り詰めた空気を醸し出しながら冬紀に近づいた。

「何でしょうか?ずいぶんなお言葉ですね。」

しかし冬紀は警戒の色は見せない。
中嶋の冷ややかな態度などものともしなかった。

 

「…おい、ヒデ?」

丹羽は相棒がなぜこのような態度に出ているか分からず、
混乱した顔で状況を伺っていた。

その問いを無視し、中嶋は冬紀を正面から睨むと、改めて口を開いた。



「お前の転入は理事長の親戚の推薦と聞いていたが…。」

「はい、そうですが…。」

「それを聞いていたから、お前を見たとき何らかの思惑が働いているのは分かっていた。」

「…。」

「北野。お前は何の目的でここに来た。」

中嶋の問いに、冬紀は初めて表情を変える。

そのやり取りをみて、丹羽は戸惑わずにはいられなかった。
(理事長の親戚の推薦?思惑って何のことだよ?)
「…?おい、ヒデ、何のことだ?」

「黙ってろ。哲也。」

話の邪魔をするなとばかりに相棒を黙らせると、中嶋は再度冬紀を見た。

冬紀の表情からは先ほどの余裕は薄れていた。
だが、追い詰められている表情でもない。


口にすることを迷っているような、そんな表情だ。

「…勉学にいそしむため…とか、無理ですよね…。」

「…。」

中嶋はその様子に、笑みを口元に浮かべた。
そして靴音を高く立てながら冬紀に近寄り、襟元をつかんだ。

「…中嶋、さん…っ?」

長身の中嶋にぐいと襟をつかまれ、冬紀はかかとを浮かせた。
中嶋は冬紀を至近距離で睨みつけると、言った。

「北野。言うまでもないが…ここは男子校だ。」

「…!」

冬紀は目を見開かせた。


次の瞬間。


ビッ


「…!」


「…な…っ?!北野…お前…!」


布を裂く音が短く響き、冬紀のシャツの胸元が開かれた。
そこには。


「女のお前がここにいる目的を聞かせてもらおうか。

 北野冬紀。」


「……。」



短い逡巡の後。


冬紀は小さくため息をついた。



「……ここまでバレてたかあ…。」


その時、学生会室のドアがまた開かれた。


バタン


「ここか北…野…っ?!」



入室者の西園寺郁は、久しぶりに面食らう、という表情を
顔に形成することとなった。



                     To be Continued…




また久々に続編です。
ここでようやくオリキャラの秘密が明らかに。
つかだいぶバレてたんじゃないかな…。
それ以前にこの小説、読んでくださってる方いるんでしょうか;;

いらっしゃったら心から感謝いたします!

一応ラストまで決まっているのになかなか文章にできない無精者です。
本当にすみません;;



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